最低賃金がUPします~最低賃金には2つある☆意外と知らない最低賃金~

さて。令和3年10月2日より、岩手県の最低賃金が上がります。

令和3年9月28日現在、793円となっていますが、

令和3年10月2日以降 :821円UP

・・・と、ここまではだいたいの方が知っている話ですね。

でも、この最低賃金(※1)には2種類あるってご存じですか?

えっ?知ってる?

じゃ、その人はこの記事スルーでも構いません(;´∀`)

でも、2種類あるのは知ってても違いが分からないという方は一応復習だと思って読んでくださいね。

①地域別最低賃金

産業・職種問わず、その地域(各都道府県)で働くすべての人に適用される最低賃金のことです。

正規雇用者だけでなく、非正規雇用者(契約社員・派遣社員・パート・アルバイト等)にも適用されます。

普段、私達がイメージする「最低賃金」は、こちらの「地域別最低賃金」が多いでしょう。

ちなみに東北6県+東京・大阪の10月からの最低賃金はコチラになります。

発効日は各都道府県によって異なります。

岩手県 ※令和3年10月2日~ 821円 ※前年より28円UP
青森県 ※令和3年10月6日~ 822円 ※前年より29円UP
秋田県 ※令和3年10月1日~ 822円 ※前年より29円UP
宮城県 ※令和3年10月1日~ 853円 ※前年より28円UP
福島県 ※令和3年10月1日~ 828円 ※前年より28円UP
山形県 ※令和3年10月2日~ 822円 ※前年より28円UP
東京都 ※令和3年10月1日~ 1041円 ※前年より28円UP
大阪府 ※令和3年10月1日~ 992円 ※※前年より28円UP

全国的に前年より、28~32円の大幅UPになっています。

全国の改定額を詳しく知りたい方はこちらのページへ 地域別最低賃金の全国一覧

ちなみに、地域別最低賃金で一番高いのは、東京の1041円、一番低い金額は、高知県と沖縄県の820円です。

全国的に見れば岩手県は低い金額ですが、☆05号☆が社会人になったばかりの頃の最賃は605円だったので、四捨五入して約20年で216円UPしてます。あの頃から比べれば随分改善されました。

一方で、約20年かけて216円UPしたのを、早かったと思うか遅かったと思うかは賛否両論あるんでしょうね。立場や視点、その時々の状況を変えると見えるものがあるのでなかなか難しい問題です。

②特定(産業別)最低賃金

普段聞きなれない、知名度が低いもう一つの最低賃金は、「特定(産業別)最低賃金」です。

名前の通り特定の産業ごとに設定されている最低賃金で、

関係者(労働者と使用者)の任意の申し出により、

「地域別最低賃金」よりも高い賃金を支払う必要がある場合に設定されます。

特定(産業別)最低賃金が適用される産業も、各都道府県によって若干異なるのですが、

現時点(令和3年9月28日時点)での岩手県の場合は以下になります。

鉄鋼、金属製品 852円
精密機械 829円
電気機械 820円
各種商品小売 767円
自動車小売 863円
百貨店,総合スーパー 800円

※上記の岩手県 特定産業別最低賃金は、令和2年12月31日より適用

この特定(産業別)最低賃金は、地域別最低賃金の額を上回る額で賃金を支払わなければいけません。

例えば、上記表では、各種商品小売は767円で岩手県の地域別最低賃金額を下回っているので、この場合は岩手県の地域別最低賃金が適用されます。

10月2日以降は、電気機械・百貨店・総合スーパーも、改変された岩手県地域別最低賃金が適用されます。

そして、特定(産業別)最低賃金は、この特定の産業の基幹的労働者とその雇用主に対して適用されます。

18歳未満または65歳以上の方、雇用後一定期間未満の技能習得中の方、その他該当する産業に特有の軽易な業務に従事する方などには適用されません。

ここからは、あまり知られていないのですが、

最低賃金は、原則、すべての労働者に適用されますが、

実は、特例として減額される場合もあります。

これは、以下に該当する労働者の場合、

最低賃金を一律に適用すると、かえって雇用機会を狭めるおそれがあることから

都道府県の労働局長の許可を受けることを前提に、個別に最低賃金を減額することが特例で認められています。

1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
2. 試の使用期間中の方。但し、最長6カ月が限度。
3. 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
4. 軽易な業務に従事する方
5. 断続的労働に従事する方

但し、減額率の上限は厚生労働省で決められており、減額対象となる労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を慎重に考慮して減額率を決めます。

誰彼構わず減額できるものではなく、あくまでも業務の遂行に、直接支障を与えていることが明白であることや、その支障の程度が著しい場合でなければ、許可の対象とはなりませんし、

許可された場合でも、許可された業務以外の業務を行う場合は、一般の労働者と同じ最低賃金額が適用されます。

また、派遣労働者の場合は、実際に就業する場所の最低賃金が適用となります。

例えば、登録型の派遣の場合、派遣元が東京都、派遣先(実際に働く就業先)が岩手県の場合は、岩手県の最低賃金が適用です。

どうでしょうか?最低賃金について知っていましたか?

普段は、ニュースで聞いても何も考えずにスルーしがちな話題ではありますが、

昨今は、今年のように大幅にUPされることが多くなっています。

年に1度くらい、最低賃金が改定されるこの時期に自分のお給料や最低賃金について考えてみてもいいんじゃないかなと思います。

それが、働く自分を守る術にもなります。

余談ですが、

最低賃金を守らなかった場合ですが、以下のように処せられます。

地域別最低賃金額以上を支払わない場合  ⇒50万円以下の罰金(最低賃金法40条)

特定(産業別)最低賃金を支払わない場合  ⇒30万円以下の罰金(労働基準法120条、24条)

最低賃金の周知義務に反した場合           ⇒30万円以下の罰金(最低賃金法41条)

(記事に書きませんでしたが、雇用主は、最低賃金について労働者に周知義務があるのです~)

☆05号☆さん、地域別最低賃金が最低賃金法で、特定(産業別)最低賃金が労働基準法で守られているとは

この記事UPするまで、きちんと知りませんでした。

こんな風に「なんとなく」な感じから働くルールや労働法を知る・学ぶのも大切だと実感してます。

 

自分の賃金大丈夫かな⁉と悩んだ時は、

お近くの労働局や労働基準監督署、各自治体が行っている労働相談等に相談してみて下さいね!

ジョブカフェでも基本的な労働相談も受け付けています♪お聞きした上で、関係機関をご紹介したり、繋ぐことができますよ♪

 

 

※1:最低賃金とは

最低賃金とは、最低賃金法に基づいて国が定めた賃金の最低限度額(時給単位)で、雇用主は労働者に対して最低賃金額以上の賃金を支払わなければいけません。